「なんで早く言わなかったの?」
「え!聞いてないんだけど…」
「言ってくれればよかったのに」
報連相の中でも、特に「報告」がうまくいかずにイライラされている管理職の方のお話をよく聞きます。私がお伝えしている会社のコミュニケーションでも、よく質問されます。
知っておくべきことが漏れていたり、タイミングがずれてしまうと、仕事に支障が出たり、対外的に信用を失くすきっかけにもなりなります。
では、なぜ、何回注意しても、相変わらず報告ができないのでしょうか?
部下が怠慢だからでしょうか?
忘れっぽいのでしょうか?
部下の皆さんと普段、研修をする中で、意外な原因に気付くことがあります。
みなさんの会社では、大丈夫でしょうか?
報告が遅れる本当の理由とは?
上司の皆さんに「報告がない、または遅い原因」を考えていただくと、うっかりしている・危機感がない・重要性が分かっていないetc…。このあたりがどんどん出てきます。
ところが、当の本人に聞いてみると次のような答えが多いのです。
・「話しかけづらい雰囲気だった」
・「こんなこと、報告するまでもないと思った」
・「怒られるかも、と思って迷っているうちにタイミングを逃した」
中には、報告しようとすると、「今は忙しい」「いちいち言ってこないで」と言われてしまい、何をいつ言えばいいのかさっぱり分からなくなっている若手の方もいらっしゃいました。
つまり、報告がうまくできないのは、お互いの関係性による心理的ハードルのせいかもしれません。
“伝え方”で改善できる!
関係性をよくするためには、「言葉」と「態度」を変えるのが最も即効性があります。上司の「伝え方」や「関係性の質」が変われば、報告がうまくできない部下の心理的ハードルが下がるからです。具体的には、3つの方法があります。
【1.早く言えば”プラスになる”というメッセージをしっかり伝える】
「話しかけるのが怖いから」という部分を先に取り除いておきます。報告が早ければ、対応策がとれる ことを常に伝えるようにします。
【2.報告の基準をはっきりさせる】
報告のタイミングをルール化しておく。個人の感覚は、千差万別ですし、経験が浅い人が報告すべきかどうかの判断を見誤ることは多々あります。
・トラブルが発生した時
・起源に間に合わない時
・一日の終わり/一週間の終わり
このように「○○があったら、すぐ報告」とルール化しておくと迷いが減ります。
【3.報告しやすい空気と時間を用意する】
意外と上司が気付かないのが、「“話しかけづらさ”の壁」です。話しかけづらいオーラを出している、話しかけても資料から目を上げない等、マイナスの対応をし続けると、壁がみるみる高くなり、報告できない環境を作ってしまいます。
忙しければ、毎日定時の5分間は報告の時間と決め、しっかり「聴く」ようにされるのもおすすめです。
上司が押さえておきたい5つの視点
報告の遅れや不足を根本から改善するには、ルールを作ると同時に、上司の意識改革が必要です。多くの場合、報告してくる部下の伝え方やタイミングが悪いと信じている方がほとんどです。
声を大にして言います。違います!
ある意味、ルールと環境を整えていない上司の責任なのです。
報告は「義務」だとよく言われますが、自然と「伝えること」の安心感を作り出せば、「文化」に変わっていきます。
① 報告の“質”より“習慣”を優先する
最初から完璧な報告を求めない。まずは“話すこと”に慣れてもらう。
② 「怒る」より「振り返る」姿勢を見せる
報告が遅れたり、不足しているときは、なぜそうなったかを一緒に振り返り、教育の機会に。
③ 「報告=信頼の表現」と伝える
部下にとっては、ミスの報告=弱みを見せる行為です。それでも報告してくれたなら、信頼への感謝を言葉にする。さらにフォローができることを伝える。
④ 報告がないときの対応もルール化する
「〇日以内に連絡がなければこちらから確認する」など、押し付けにならない仕組みをつくっておく。
⑤ 上司も報告”を実践する
上司自身も上層部やチームへの報告・共有をこまめに行うことで、風通しのいい文化を根付かせる。
「報告させる」からの卒業
報告の遅れや不足を「能力や姿勢の問題」として切り捨てていると、いくら叱っても、イライラは続き、真の改善は見込めません。
「報告しない部下を責める前に、「報告しにくい上司」「話しかけずらい上司」になっていないか?」
この自分自身への質問が、会社のコミュニケーションを変える第一歩です。
伝え方ひとつで、「報告したくなる関係性」は作れます。
思い当たる方は、ぜひ試してみてくださいね。